ディベートで強い反論をするコツ【相手の話を切る・削る】

ディベート ディベートのコツ

「ディベートで相手に反論したいけど、すぐに思いつかない。」
「相手の話にガンガン刺さるような、効果的な反論がしたい..」

このような悩みを持つ方に、この記事では、基本的な「反論の切り口」を解説します。

 この記事で書いていること

  1. 根本からスパッと切る反論
  2. 外側からガリガリ削る反論
  3. その他の反論

この記事を書いている私は、英語ディベート歴2年。自分なりに掴んだ反論のコツをまとめました。

基本の反論は2種類

ディベート-反論の2つのアプローチ
 論題や相手の主張により、反論の仕方はいくつもあります。しかし、そのアプローチの仕方は、おそらくこの2種類の反論に大別できると思います

  1. 根元からスパッと切る反論【話の間違いを指摘する】
  2. 外側からガリガリ削る反論【その話が重要でないことを示す】

そして、この2つのアプローチの仕方を覚えておけば、相手の主張の大部分には対応することができます。

それでは、それぞれの反論の仕方について、詳しく解説していきます。
(※この2種類以外の反論も、この記事の最後に少しだけ解説しています。)

① スパッと切る反論

まずはスパッと切る反論。これは、相手の議論に関して「それは違う (Not true)」を突きつける反論です。論理の鎖を断ち切り、それ以降の相手の主張を大きく崩すことができます。

 そして、この反論をする時に注目する場所は、相手の”議論の前提”です。”前提”を別の言葉でもう少し詳しく説明すると、”相手の議論を因数分解したときに出てくる最小単位のモノや人の性質”と考えることができます。すなわち、論理のスタート地点です。

前提への反論が効果的な理由

前提への反論が効果的な理由は以下の2つです。

  1. 論理の中で前提が手薄になりやすい。
  2. 前提をひっくり返すことで、その後の議論を大きく崩すことができる。

 私たちが論理的にものごとを考える時、論理は1つの流れになっています。例えば、「Aという前提があるからBが起こり、Bが起こるからCだと考えられる。」という流れができています。
この時、「AだからB」、「BだからC」というつながりの部分は、よく練られている場合が多いです。そのため、この部分に「それは違う (Not true)」を突き立てても、切ることがむずかしいです。「まあ、そういうイレギュラーもあるよね」程度にしか効果がないことが多いのです。

ディベート-論理の前提を切る
一方で、前提というのは案外手薄な場合が多いです。なぜかというと、自分たちの求める結論を導くために、前提をある程度都合よく解釈して議論をスタートする必要があるからです。例えば、「政府はタバコを禁止にするべきだ。」という論題の肯定側の場合。肯定側にとっては、タバコは健康に悪ければ悪いほど都合がいいです。そのため、実際には健康な範囲内でタバコを楽しんでいる人がいても、「タバコを吸っている人全員が不健康になる」という前提をとる方が有利です。

 そのような解釈があることから、前提こそ切りやすいのです。そして、そこを切ればその後の議論を全て切り捨てることも可能です。「それは違う (Not true)」を突きつけるには、まず前提を探しましょう。

手順と具体例

以下の手順を踏むことで、前提に反論することができます。

  1. 相手の主張を因数分解する。
  2. 論理の前提(スタート地点)となるワードを探す。
  3. 「それは違う (Not true)」を投げかける。

例えば、「政府はタバコを禁止にするべきだ。」という論題の場合、肯定側が以下のような主張をしたとします。

タバコが合法な状態では、喫煙者は自由に入手・喫煙することができる。その結果、たくさんの人がタバコによる病気や依存性に苦しんでいる。

これを因数分解した場合、以下のようなワードに分けることができます。そして、これらのワードが次のような”前提”を持っていることがわかると思います。

因数分解したワード
:喫煙者、タバコによる病気、タバコの依存性
前提①「喫煙者」
:タバコが合法だと、喫煙者は好きにタバコを吸うことができる。
前提②「タバコによる病気」
:タバコを吸うと重い病気にかかってしまう。
前提③「タバコの依存性」
:一度タバコを吸い始めると強い依存性のせいでやめられない。

肯定側の最初の主張は、これらの前提の組み合わせにより成り立っています。そして、この1つ1つの前提に疑問を投げかけることで、反論の切り口を掴むことができます。

疑問①「喫煙者」
:現在は喫煙者への風当たりが厳しかったり、タバコ税が値上げされたりして、合法でも簡単にタバコを吸える人は少ないのではないか?
疑問②「タバコによる病気」
:重い病気にかかる人はヘビースモーカーのみで、ほとんどの人は付き合い程度に健康な範囲で楽しんでいるのではないか?
疑問③「タバコの依存性」
:現在は禁煙支援の制度も豊富で、タバコをやめるのがそこまで難しくないのではないか?

以上が、相手の論理を切るための反論の糸口になります。前提を探し、根元から切る。決まると気持ちがいいです。

② ガリガリ削る反論

続いて「外側からガリガリ削る反論」。これは、その議論のなかで相手の話が「重要ではない(Not Important)」ことを突き付けます。相手の話が持つ影響力をより小さく、小さく削っていきます。そして、この反論をする上でのキーワードは、”俯瞰する”ことです。

ディベート-俯瞰して相手の話を小さくする
先ほど説明した「スパッと切る」反論では、相手の議論を因数分解し、近くでじっと観察します。しかし、逆に遠くから眺めることで反論の糸口を掴むのか「削る」反論です。この反論の方法を3つ説明します。

コツ① 議論を俯瞰して、そもそもの目的に立ち返る。

これは、「自分たちの達成したい目標」や「主体の責任や役割」などの大きなものに立ち返る方法です。それに則った結果、相手の話が重要でないことを説明できることがあります。

具体例

例えば、「政府はタバコを禁止にするべきだ。」という論題の肯定側の主張とそれに対する反論です。

肯定側の主張
:「タバコは受動喫煙という大きな害がある。そして、公の場所でいくら分煙しても、家庭などのプラーベートな場所で被害を受ける人がいる。だから、タバコを禁止にするべきだ。」
これに対する反論
:「プライベートな場所で起こることには、各人が責任を持つべきである。そのような場所での被害を防ぐことは、そもそも政府の責任の範囲を超えている、そのため、その主張は重要ではない。」

ここでは、主体である「政府の役割」に立ち返ることで、この議論が重要ではないことを説明しています。

コツ② 道のりを俯瞰して問題を無効化。

 この反論は、相手の主張する問題に対して「それはむしろ起こってもいいことだ」という方法です。自分たちのゴールを達成する上で、その問題がむしろ必要なことであると主張します。

具体例

この反論は、特に社会運動のバックラッシュ(反動)の問題への反論でよく使われます。具体例として、「企業の幹部に女性枠を設けるべきだ。」という論題。男女平等の実現が基本的なゴールになるテーマです。

否定側の主張
:特別枠を設けることは、女性だけ特別扱いをすることだと非難が起こる。
これに対する反論
:そのような反感は、現状で女性の出世機会が抑制されていたことに気がつくきっかけであり、平等運動の第一ステップである。それはむしろ起こっていい問題だ。

ここでは、「男女平等運動ゴール」を達成する上で、むしろ必要な問題だということで、相手の主張を削っています。

コツ③ Exampleを俯瞰して、頭を冷ます。

根拠や論理だけでなく、Example(具体例)にも反論を忘れないようにしましょう。以下のような切り口が効果的です。

・その例は一つの事例にすぎませんよね?
・実際、そんなに起きないですよね?
・今回の議論は状況が違いますよ?

Example(具体例)は、議論の中で時に猛威をふるいます。感情に訴える効果があるからです。話の上手い人ほど、まるで映像を見せるかのようにストーリーを展開します。聞き手は物語に引き込まれ、心を掴まれ、もう釘付けです。そういう時ほど、全体が俯瞰できるように、映像から引き離してあげましょう。

番外編 : その他の反論

以上の「切る反論」「削る反論」の2つが、基本的な反論のやり方です。
ここからは、少し上級者向けの、ディベート全体をメタ的に眺めることで見つかる反論の糸口を2種類ご紹介します。

  1. Exclusivity(排他性)
  2. Relevancy(関連性)とUniqueness(特有性)

①Exclusivity(排他性)で反論

これは「それは両方のサイドでも当てはまる(or 当てはまらない)主張だ。」と指摘する反論です。ディベートは2つのサイドに分かれて議論を行います。この時、Exclusivity(排他性)とは「片方のサイドでのみ起こること(or 起こらないこと)」を指します。基本的に両方のサイドで起こることを話しても、自分たちのサイドの議論を肯定することができません。そのため、これを反論の切り口とすることができます。

ディベート-ディベートのExclusivity

具体例

例えば「政府はタバコを禁止にするべきだ。」という論題の場合。

肯定側の意見
「タバコには大きな健康被害がある。特に、未成年の喫煙による体への影響はとても大きく、脳への影響から人格への障害が出ることもある。」

しかし、「未成年の喫煙」というのは、否定側の世界でも現状で禁止されています。そのため、この主張は両サイドでも起こらないことです。否定側は「 Exclusivity(排他性)がない」と反論することができます。

②Relevancy(関連性)とUniqueness(特有性)で反論

ディベートでは、その論題を適切にとらえた議論をする必要があります。言い換えると、その論題に関連した(Relevancy)、特有の(Uniqueness)の議論です。この2つを満たしているほど、そのディベートで大きな影響力を持ちます。
 一方で、いくら正しいことを話していても、論題に関連していない、もしくは特有でない議論というのは弱いのです。そこを反論で指摘しましょう。

ディベート-RelevancyとUniqueness

具体例

ここではUniqueness(特有性)の具体例を説明しておきます。

政府はタバコを禁止にするべきだ。」の肯定側の主張
:タバコは喫煙をすることで、健康に害を与えるから禁止にするべきだ。
Uniqueness(特有性)を切り口とした反論
:摂取することで健康被害を受けるのは、タバコだけではない。アルコールやジャンクフードも同じだ。そのため、タバコを禁止にしたところで大きな効果はない。

摂取した人自身への健康被害というのは、この議論のテーマである「タバコ」にそれほど特有なものではないことから、この反論が可能です。

まとめ

今回は、反論の切り口について解説しました。

  1. スパッと切る反論
  2. ガリガリ削る反論
  3. その他の反論(Exclusivity, Relevancy, Uniqueness)

反論に慣れないうちは、これらを意識するといいと思います。

この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。

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ディベートを始めたばかりの時は、自分たちの主張をするだけでも大変です。強い立論をするコツは、こちらの記事で解説しています。

ディベーターにオススメな本

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