英語ディベートでいいジャッジをするコツ【力を抜いて大丈夫です】

ジャッジのコツ ディベート

「英語ディベートでジャッジをしなければいけないけれど、うまくできるか不安だ。」
「ジャッジとしていいRFDを話せるようになりたい。」

このような悩みを持つ方に、この記事ではいいジャッジをするためのコツを解説します。

 この記事で書いていること

  1. ジャッジが最低限守ること
  2. 試合の勝敗を決めるときのコツ
  3. ディベーターに伝えるときのコツ

この記事を書いている私は、即興英語ディベート歴2年。ジャッジも時折りやってます。

ジャッジが最低限、守ること

ディベート-ジャッジが最低限守ること
コツをご紹介する前に、ジャッジの基本的な仕事と、最低限守らなければいけないことを解説しておきます。

ラウンドの中でジャッジの仕事は、以下の3つです。

  • ラウンドの進行をする
  • 勝敗(Vote)を決める
  • 判定理由(RFD: Reason of Decision)を話す

試合の審判であるため、スポーツなどと同様に、公平で中立な立場が求められます。

そして、ディベートという競技で、特にジャッジが守るべき原則は次の2つがあります。

原則① ARPであること

ARPは、Average Reasonable Personの略です。すなわち、平均的で合理的な人であることが求められます。具体的なイメージとしては、「一般的な教育を受けており、ニュースや新聞で報道される程度の知識を持っている人」といった感じです。そういう人になったつもりで、ディベートを聞きましょう。

NGな例を挙げておきます。

  • 自分の好みを反映させる。
  • 自分の専門知識を持ち込む。
  • ディベート-ジャッジの設定

    原則② 全ての議論をもとに判断する

    ディベートの中で出た議論をすべて考慮した上で、勝敗を決めましょう。ジャッジの主観で、議論を取捨選択してはいけません。
    判断に関係しない議論があった場合は、「〇〇という理由で、この議論はとっていない」という理由を説明できるようにしましょう。

    以上がジャッジをする上での原則です。それではここから、いいジャッジをする上でのコツを紹介していきます。

    ジャッジが試合の勝敗を決めるときのコツ

    ディベート-試合の勝敗を決めるときのコツ
    ジャッジに慣れないうちは、Voteを決めることに、ものすごく大きな責任が伴うような気がしてきます。しかし、力を抜いてください。

    次の3つのコツを意識してみると、勝敗をうまく判断できるようになります。

    コツ① 暫定順位をつける

    スピーチが終わるたびに、その時点での順位をつけておきましょう。

    なぜなら、判断にかかる時間を短縮するこができるからです。
    全てのスピーチを聞き終わってから判断しようとすると、ディベートを振り返るのに時間がかかってしまいます。さらに、部分的に思い出すことができない場所もあり、判断が偏ることもあります。ディベート中のリアルタイムの判断が、一番正確なのです。

    順位の変動場所がターニングポイント

    “暫定順位が変化した場所” = “勝敗の要因となる議論があった場所”

    これを覚えておくと、どの議論が勝敗に直結したのかがよくわかります。RFDを作る時の参考にもなるでしょう。順位の変動は、ディベートの戦況の変化です。

    ディベート-その時点での順位をつける(ジャッジをするコツ)

    コツ② 直感をメモしておく

    ジャッジとして勝敗を考えていると、考えれば考えるほどわからなくなる、という状態に陥ることがあります。
    議論の細部に囚われてしまっているからです。

    「この部分では肯定側が勝っているけれど、この部分では否定側が勝っている。でもそこには反論が少しは刺さっていて..」

    初心者のうちほどこの迷路に迷い込みます。そういう時は、直感に従う方が実は正確です。「直感的に強い根拠」「直感的に勝っているチーム」をメモしておきましょう。

    直感は、合っていることの方が圧倒的に多いです。

    コツ③ 負けたチームが納得できるようなRFDにする

    正直、これが達成できればジャッジとしての仕事は完了です。
    基本的に、勝ったチームが「その結果に納得がいかない」と思うことは、そんなにありません。どちらのチームも”勝ち”を目指してディベートをしているからです。そのため、負けたチームの納得感が得られれば、ジャッジとしての仕事は達成したと言えます。

    ディベーターは、ジャッジを説得するために、スピーチを行います。今度は、ジャッジがディベーターを納得させる番です。

    ディベーターに伝えるときのコツ

    ディベート-ディベーターに伝えるときのコツ
    ここからは、判定した結果をディベーターに伝えるときのコツについて解説していきます。

    ディベーターにとってジャッジの話は重要です。
    ディベーターは、ジャッジの話から多くを学びます。準備時間にアイデアを練り、7分間で必死にした話が、ジャッジにどう取られ、ラウンドの中でどのような影響を与えたか、知りたがっています。

     次の2つのコツを気を付けると、ディベーターに嬉しいRFDになります。

    コツ① ディベーターの話したことになるべく触れる

    ディベーターが話したことは、できるだけ全ての内容に触れるようにします。それが勝敗に関係していない場合にも、です。

    なぜなら、ジャッジがどう受け取ったかを知ることは、ディベーターにとって大事なことだからです。英語で自分たちのアイデアを伝えることは、最初はすごくむずかしいです。ディベーターの伝えたかったことと、ジャッジが受け取ったことには少なからずギャップが生まれます。自分の話したことがジャッジにどう伝わっていたのかを知ることは大切な気づきです。

    PMでは、主に3つのことを話されていました。
    1つ目に〇〇、2つ目に〇〇、3つ目に〇〇ということです。
    その中でも、〇〇の部分がGovのアーギュメントのメインの部分で..

    という感じで、少しでも言及することが大切です。

    コツ② 大筋から細部へ

    RFDは、長い場合は15分 ~ 20分もかかってしまうと思います。聞き続けるのは労力が必要なので、できるだけわかりやすく話しましょう。

    とはいえ、最初は結論ファーストサインポストを意識すればOKです。

    今回のディベートでは、Govを勝ちにしました。
     その1番の理由は、〇〇という点でみた時に、Oppの〇〇という議論に比べ、Govの〇〇のインパクトの方が大きかったからです。
     それでは詳しく話していきます。今回は主に2つの議論がGovとOppから出ていました..

    イメージは、大筋→細部という流れで話すといいと思います。
    ディベートで出た議論をもれなく、しかし、簡潔にまとめるようにしましょう。

    ディベーターをする時には、どう話したらジャッジにわかりやすく聞いてもらえるか、ということを気をつけながらスピーチをすると思います。それは、ジャッジとしてRFDを話す時にも同じです。

    それでもジャッジをするのが不安なときは

    ディベート-それでもジャッジが不安な時は
    最後に、ジャッジをする上で、もう一つ大事なことを書きます。

    それは、自分の判断に自信を持つことです。
    なぜなら、ディベートのルールは「ジャッジであるあなたを説得すれば勝ち」だからです。

    「スピーチ話の中で、聞き取れなかった部分があった..」
    「ディベーターの話をちゃんと理解できているか不安だ..」

    実際に、ジャッジをしていたら話を聞き逃してしまったり、意味を誤解してしまうこともあります。しかし、それはディベーターの責任でもあります。ジャッジのあなたに理解してもらえる話し方や言葉を使わなかった、ということだからです。

    ジャッジをするときは、精一杯聞き、精一杯考え、誠意を持って公平な判断を行ったのであれば、あとは自信を持っていいと思います。

    個人の感想 : ジャッジを積極的にやっていきたい

    ここからは、ジャッジをやるようになってからの個人的な感想を書きます。
    興味のない方はここで読み終わって大丈夫です。

    私がジャッジに挑戦するようになったのは、ディベートを始めて約1年が経ったころからです。最初はすごく不安でした。「自分なんかがジャッジをしていいのだろうか..」と申し訳ない気持ちも感じていました。

    しかし一方で、ジャッジをやることに対して、ポジティブな感情も抱いていました。それは以下の2つの理由からです。

    理由① 格段にディベートがうまくなる

    ジャッジをすると、ディベーターとして確実にステップアップができます。なぜなら、勝敗から逆算して考えることができるようになるからです。その結果、勝つために何を話すべきかがわかるようになります。

    例えば、ジャッジを経験した後の私は、ディベーターをしている時にもこんな視点を持つようになりました。

    「自分たちがここで勝つには、こういう話をしなければいけない。」
    「相手の議論のこの部分を削らないと、勝つのは難しいな。」

    ジャッジとして客観的にディベートを眺めることで、今までになかった視点を得ることができます。

    理由② 「貢献感」がある

    私は、ディベートでジャッジをした時に初めて、これからは自分も少しずつ貢献していけるという感覚を持ちました。自分の所属するディベートコミュニティに対してです。

    ディベートを初めてしばらくは誰でも、手取り足取り、教えてもらってばかりです。練習のたびに、先輩方にフィードバックをもらい、下手なスピーチを褒めてもらい、少しずつ育ててもらいました。

    ジャッジをすることで、「してもらってばかり」の状態からようやく抜け出して、少しずつお返しができるような気がします。「貢献感」を持てることはすごく嬉しいですね。

    この記事が、みなさんがジャッジをする際の手助けになれば幸いです。

    合わせて読みたい

    RFDの後はフィードバックをすることがジャッジの仕事です。いいフィードバックのコツはこちらの記事でご紹介しています。