【ヒルティの幸福論】教養ある仕事人になるための名言4選【古典を読む】
「仕事の成果を上げて幸福になる方法を、古典から学びたい。」
「ヒルティの『幸福論』が気になる.. 読む前に内容を知りたい。」
このような悩みを持つ方に、三大幸福論のひとつ、ヒルティの「幸福論」を読んで覚えておきたいと思った要点を4つご紹介します。
この記事で書いていること
- ヒルティの幸福論の特徴
- ヒルティ流・仕事論4選
わたしも本書を読んで、日々の生活や仕事で実践していることがあります。
ヒルティの幸福論とは?
幸福について書かれた「幸福論」というタイトルの本は無数にありますが、そのなかでも「三大幸福論」と呼ばれる選りすぐりの3冊があります。ヒルティ、ラッセル、アランという哲学者によって書かれたものです。
この記事では、そのうちの1冊「ヒルティの幸福論」についてご紹介します。
エリート仕事人・ヒルティの幸福論
ヒルティは、1800年代にドイツに生きた人(生まれはスイス)です。優れた哲学者でありながら、政治家・裁判官・大学長などの大役をつとめ、世に貢献しました。仕事もバリバリできるエリートです。
ヒルティの幸福論の特徴
そんなヒルティの幸福に対するスタンスの1つを先に述べておくと「幸福な人生はいい仕事とともにある」です。こんな言葉も文章中によく見られます。
この世の最大の不幸は、仕事を持たず、したがって一生の終わりにその成果を見ることのない生活である。
先に働いていない休息は、食欲のない食事と同じく楽しみのないものだ。
ヒルティがこう主張する理由は、いい仕事は体の健康につながることはもちろん、日々の達成感・人生の満足感・休日の楽しみなどの心の健康も与えてくれるからです。
ヒルティ流・仕事論が書かれた実践本
そして本書の特徴のひとつは、ヒルティの仕事論が書かれた実践的な本でもあることです。じっさい、この本の冒頭はこんな文章で始まります。
仕事の上手な仕方は、あらゆる技術のなかでもっとも大切な技術である。というのは、この技術を一度正しく会得すれば、その他の一切の智的活動がきわめて容易になるからである。
そして驚くことに、本書を読むと現代も変わらず普段の仕事に役立てられるものが多いことがわかります。
ヒルティの仕事論4選をご紹介
そこでこの記事では「ヒルティの人生を幸せにする仕事論」のうち私が知ってよかったと思う4つ選びました。
- ヒルティの仕事論①「まずは、思い切って始めよ」
- ヒルティの仕事論②「何よりも本論に手をつけよ」
- ヒルティの仕事論③「仕事の動機について考えよ」
- ヒルティの仕事論④「働きすぎないようにせよ!」
順番にご紹介します。お役に立てれば幸いです!
①ヒルティの幸福の仕事論「まず始めること」
まずひとつ目の、ヒルティ流・仕事論です。
まず何よりも肝心なのは、思い切ってやり始めることである。仕事の机に座って、心を仕事に向けるという決心が、結局一番難しいことなのだ。一度ペンをとって最初の一線を引くか、あるいは鍬を握って一打ちするかすれば、それでもう事柄はずっと容易になっているのである。
仕事を進めるために大切なのは、まず始めることです。
なぜなら、いつでも仕事に対して攻めの姿勢をとることで、やる気は出るからです。現代でも耳にすることかもしれませんが、約100年前の本にも書かれています..。
始められない人がしている勘違い
しかし、わかっていても一番難しいのが「始める」ということです。そこで、ヒルティは仕事をすぐに始められない人がハマりがちな罠を指摘しています。
多くの人は仕事に取り掛かる前に、何ものにも妨げられない無限の時間の大平原を目の前に持ちたいと思うからこそ、彼らは時間を持たないのだ。
つまり「仕事のための充分な時間を持とうとする」ことは間違いです。
これには2つの理由があります。
- 忙しい毎日に充分な時間はそもそもないから。
- 仮にあったとしても、人の集中力はそんなに続かないから。
いい仕事は30分あればOK
ヒルティ曰く、もっともいいやり方は「小さい時間の断片を利用する」ことです。たった30分〜1時間でも見つけて仕事をする方が、大きな時間を待つよりも早く終わらせることができるのです。
本当に何かを生み出すべき精神的な仕事については、最初の一時間、あるいは往々最初の半時間が一番よい時間だといっても決して言い過ぎではない。
②ヒルティの幸福の仕事論「本論から始めよ」
続いて2つ目は、私もよく実践して効果を感じている具体的なテクニックです。
それはともかくとして、序論や表題は最後に作れというのが、誰にでも当てはまる適当な忠告である。そうすれば通常、それらはひとりでに出来てくるものだ。序論的なものは後回しにして、自分の実際に最もよく知っている本論から始めれば、ずっと楽に仕事を始めることができる。
つまり「イントロダクションは最後に作れ!」です。
なぜなら、序論というのは書き方が多様であり、また本論の内容によって変化するからです。そのため必要以上に悩んでしまったり、後から本論と噛み合わなくなることも多いです。
・プレゼン資料の最初のページ
・スピーチの前置き
・論文の緒言..
結局いちばん効率がいい
一方で、本論で述べる内容は、客観的な事実・データになることが多く、後から変わることが少ないです。そして、それを書く本人が最もよく知っていて、簡単に始められる内容です。
こうすれば(本論から手をつければ)完全に体系的にやらないためにあるいは仕事の順序の上で廻り道になるかもしれないが、その欠点は時間が得られるということで償って余りあるくらいである。
そのためヒルティ曰く、たとえ順番が前後しても本論から始めるのがもっとも効率的なのです。
③ヒルティの幸福の仕事論「何のために働くか」
続いて3つ目は、仕事をする上でのマインド的な話です。
たとえば今、社会に出ていく青年に最初の忠告を与えようとすれば、まず次のようなものになろう。諸君は、ある事柄、またある特定の人々に対する愛と義務感から働きなさい。
ヒルティ曰く、人が仕事をするときには低い動機と高い動機の2種類があります。そして「いい仕事=高い方の動機によってされる仕事」だといいます。
- 低い方の動機:生活維持のため, または名誉心や物欲など自分のために働く
- 高い方の動機:仕事自体や、仕事によって助けられる人への愛や責任感のために働く
つまりは、利己ではなく利他によってされる仕事です。
人のために働くほうが良い理由
なぜ、「他人のためにする仕事」が幸福につながるのか。それは、そのような時に人は仕事をするための強さ、情熱、エネルギーを保てるからです。
この高い方の動機は、より多くの持続性があって、必ずしも結果に拘泥しないという特質を持つ。だから、失敗しても飽きて嫌になったり、成功しても満足して熱意を失ったりすることがない。
一方、人は自分だけのために、あまり頑張り続けられません。
利己的な努力よりもはなはだしく人を疲れさすものはない。その際に出てくる力は、病熱の上昇よりほかの何物でもなく、それは力のもとでを食い尽くしてしまうものだ。
ヒルティ曰く、けっきょく成功しやすいのも、結果に関わらず継続できる「高い方の動機」で働く人です。仕事の動機を見直すことも大切かもしれません。
④ヒルティの幸福の仕事論「働きすぎないこと」
続いて、最後のポイントです。
しかし、あまりに仕事に狂奔(過度に熱中)しすぎることも、怠惰と同じく、無教養のしるしであり、怠惰におとらず有害である。そういう狂奔ぶりが自発的なものである限り、真の教養の二大敵である名誉心か、物欲から発しているのであって、これはその人が教養以外のものに最高の価値をおいていることを常に証明するものである。
仕事を奨励するヒルティですが、異常なまでに仕事に熱中することはよくないと言います。なぜなら、そういう人は往々にして、仕事の成果のみに心を奪われ、仕事自体を愛していないからです。つまりは、先に書いた「低い方の動機」で働いていることの証明になるからです。
休息=仕事の対象を変えること
ということで、疲労を感じたら休みましょう。しかし、ただ休むのではヒルティのように大事を成すことはできません。そこで、ヒルティ流・休息法もご紹介します。
仕事の結果、ある程度の疲れが出てきたら、さっそく中止すべきである。が、その場合に、決して仕事そのものをやめてしまう必要はない。通常その特定の仕事だけを中止すればよい。というのは、仕事を変えることによって、必要な休息と同じくらいに元気が回復するものだからである。我々の天性にこのような適応性がなかったら、おそらく仕事は大してできないであろう。
つまりは、休息する=仕事の対象を変えることです。(結局たくさん働くことになりますが..。)ヒルティ曰く、仕事それ自体を愛し、精神をごまかす必要がないくらいに休息をとりつつ働くことが大事なのです。
まとめ
この記事では、ヒルティの「幸福論」について、現代でも役に立つ仕事術という観点で4つの内容をご紹介しました。
- まずは、思い切って始めよ
- 何よりも本論に手をつけよ
- 仕事の動機について考えよ
- 働きすぎないようにせよ!
素晴らしい本なので、興味があればぜひ手に取ってみてください。この記事がみなさんのお役に立てば幸いです。