【新渡戸稲造|武士道】勇気と優しさをくれる武士道の名言6選【古典を読む】

読書

「自分の信じた道をすすむ勇気がでる言葉を知りたい」
「サムライのような強く優しい生き方について学びたい」
「新渡戸稲造の『武士道』に興味があるが、読むまえに内容をすこし知りたい」

このような悩みを持つ方に、この記事では新渡戸稲造の「武士道」の内容を6つの名言とともにご紹介します。

この記事で書いていること

  1. 新渡戸稲造の『武士道』の概要
  2. 信じた道をゆく勇気をくれる武士道の名言3つ
  3. 武士の優しさや礼儀がわかる武士道の名言3つ

私も、武士のように行きたいと考えています。

新渡戸稲造の『武士道』とは?

新渡戸稲造の武士道とは?

この本を書いた新渡戸稲造は、明治から昭和にかけて、日本と外国のかけ橋として活躍した国際人です。たとえば、次のようなことをしました。

  • 国際連盟の役職をつとめる
  • 台湾の農業の発展に尽力する
  • この時代に、周りの反対をのりこえて国際結婚をする

そんな著者が、外国の友人や妻から次のような質問をされて書いた本が「武士道」です。

「日本では宗教教育がない。それでは、あなたたちはどのようにして若者に道徳教育を授けるのか?」

日本人の規範である武士道

多くの国では、宗教の教えが人々の行動の規範となっています。しかし、日本ではそうではありません。そして、その代わりをしているのが武士道だと著者は言います。

そこで、私の善悪や正義の観念を形成しているさまざまな要素を分析してみて初めて、そのような観念を吹きこんだものは武士道だったことに気づいたのである。

武士道は、日本の武士が実践してきた道徳規範です。正式な文書などがあるわけでなく、口づてや生き様で伝えられてきました。

それらのアイデアは、少なからず現代の私たちの中にも流れています。だからこそ、それを言語化するこの本の言葉は、パワーをくれるとおもいます。

武士道の名言

著者は『武士道』において、武士の大事にしたものを「義・勇・仁・礼・誠・名・忠」という徳にわけて説明しています。

この記事では、武士の勇気ややさしさに触れたい方に向けて、次の名言をご紹介します。

 この記事でご紹介する言葉

  1. 信じた道をゆく勇気をくれる「義」と「勇」に関する名言3選
  2. 武士の優しさや礼儀がわかる「仁」と「礼」に関する名言3選

この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。

(※本記事では、本書の中の著者の言葉、また著者が引用した言葉をご紹介します。)

①武士道の「義」と「勇」の名言3選

①武士道の「義」と「勇」の名言3選

まず最初に、武士道の「義」と「勇」の徳に関する名言をご紹介します。2つの徳はこのような意味をもちます。

  • 「義」・・打算や損得をはなれ、道理に従った正しい行いをすること。
  • 「勇」・・正しいと思ったことを行動にうつす勇気をもつこと。

正しいと信じたことをする勇気がほしい時、役に立つかもしれません。

名言① 義があれば他はとるに足らない

武士の重んずるところは節義である。節義とは人の体にたとえれば骨にあたる。骨がなければ首も正しく上に載ってはいられない。手も動かず、足も立たない。だから人は才能や学問があったとしても、節義がなければ武士ではない。節義さえあれば社交の才などとるに足らないものだ。

道理に合った正しいことをするという「義(節義)」は、武士がすべてのなかでトップにおいた徳でした。なぜなら、武士はもともと世を治める立場であり、それゆえに正しいことをする責任があったからです。そして、正しい行いをすることに比べれば、才能や知識はとるに足らない、とまでこの言葉は言いきっています。

いまの世のなかは数字や損得が重視され、「正しいこと」がときに不合理に映るかもしれません。しかし、それを突き通すことが何よりも大事かもしれません。

名言② 勇とは正しきことを為すこと

義を見てせざるは勇なきなり。

つづいて、武士道の「勇」を表した言葉をご紹介します。武士道では、あらゆる知識が行動に結びついていることを大切にしていました。なぜなら、正しいと判断したことを行動できなければ、勇気のない臆病者というレッテルを貼られたからです。それは誇り高き武士には大きな屈辱でした。

この言葉は短いですが勇気の本質を言い表します。義にしたがって善悪の判断をしたら、それを行動にうつす勇が必要みたいです。

名言③ 勇気と大胆のちがい

戦場に飛び込み、討ち死にするのはいともたやすきことにて、身分の賤しき者にもできる。生きるべきときは生き、死ぬべきときにのみ死ぬことこそ、真の勇気である。

「勇」についてもうひとつの言葉をご紹介します。たんに大胆な行動をすることを、勇気と考えたくなるかもしれません。しかし、無意味で無謀なアクションや、自分の利益のためだけの行動は、いかに大胆でも本当の勇気とは言えませんでした。なぜなら、それらは道理にしたがった行動ではないからです。

とくに無謀な大胆さは「犬死に」という言葉で軽蔑されることもありました。なにに勇気を使うか考えることも、大切かもしれません。

②武士道の「仁」と「礼」の名言3選

②武士道の「仁」と「礼」の名言3選

つぎに、武士道の「仁」と「礼」の徳に関する名言をご紹介します。2つの徳はこのような意味をもちます。

  • 「仁」・・愛、寛容、他者への思いやりの心。
  • 「礼」・・他者や道理を尊重し、礼儀正しくあること。

人との関わり方について迷った時、ヒントになるかもしれません。

名言④ 強さと優しさは表裏一体

仁は、優しく柔和で母のような徳である。高潔な義と厳しい正義が男性的であるとするなら、仁における慈悲は女性的な優しさと説得力を持つ。(中略)
幸いにも、慈悲は美しいものであるが、珍しいものでもなかった。なぜなら「もっとも勇気ある者はもっとも心優しい者であり、愛ある者は勇敢である」ということが、普遍的な真理とされていたからである。

まずは、他者への思いやりである「仁」ついての言葉です。武士道では義や勇に比べて、仁はさほど目立つ徳ではありませんでした。それは、優しさは強さの裏側にあたり前にあるものだと、みんな知っていたからです。

「武士の情け」という言葉があるように、高潔な武士ほど、戦いの中でも相手への尊重や慈悲を当然のように大事にしました。

名言⑤ 礼は他を思いやる心

もし礼が、「品性の良さ」を損なう恐れがあるがために行われるのであれば、それは貧弱な徳といわねばならない。なぜなら、礼は他を思いやる心が外へ表れたものでなければならないからだ。

つづいて、武士の「礼」についてわかる言葉です。相手への礼儀は、いまも多くの日本人が大切にするの徳のひとつだと思います。しかし、それが損得の計算にもとづいていたら、本当の礼儀とは呼べないかもしれません。

礼儀は「相手を思いやる心」が外へ表れたものであることに注意しようと著者はいいます。真実と誠実がなければ、礼は茶番であり芝居になっています。

名言⑥ 泣いている人ともに泣き、喜ぶ人とともに喜ぶ

礼儀は、仁と謙譲の動機から生まれ出るように、他者の感情の優しさによって動くものであるから、常に優美な同情となって表れる。すなわちそれは、泣いている人とともに泣き、喜ぶ人とともに喜ぶ、ということである。

最後に、「礼」についてのもうひとつの言葉をご紹介します。相手への本当の思いやりからでた礼儀は、とても美しいものとして表れます。著者はそれを、「泣いている人とともに泣き、喜ぶ人とともに喜ぶ」というおしゃれな言葉で表現しました。

武士道の「礼」についてのエピソード

ここで、著者が知人から聞いた「礼」についてのエピソードをご紹介します。

ある婦人が、日除けもなく太陽の照りつける中を歩いていた。顔見知りの日本人に出会ったので声をかけ、挨拶をした。彼は、彼女と話している間ずっと、日傘を下ろして自分も照りつける太陽の下に立っていた。

その婦人は外国の方で、この行動をおかしなものに感じたようです。しかし、著者はこの動機を次のように説明します。

「あなたは炎天下にいる。私はあなたに同情する。もし私の日傘が大きければ、あるいはもっと親しい間柄なら、どうぞ私の傘に入ってもらいたい。しかし、それができないので、せめてあなたと苦痛をともにしているのです。

もどかしく感じることもあるかもしれませんが、武士特有のおもむきや美しさも感じられるのではないでしょうか。

まとめ

この記事では、新渡戸稲造の「武士道」から、以下の内容をご紹介しました。

  1. 新渡戸稲造の武士道とは?
  2. 信じた道をゆく勇気をくれる武士道の名言3つ
  3. 武士の優しさや礼儀がわかる武士道の名言3つ

他にも胸をうつ言葉があるかもしれません。興味のある方は、ぜひ本書を手にとってみてください。

この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。