【フランクリン自伝|要約】本の内容がわかる3つのポイント【古典を読む】

読書

「偉人の生き方から成功に必要なものを学びたい。」
「周りの人を巻きこんで仕事をする方法を知りたい。」
「名著『フランクリン自伝』の内容をさくっと知りたい。」

このような悩みを持つ方に、ベンジャミン・フランクリンの名著「フランクリン自伝」を要約してご紹介します。

この記事で書いていること

  1. フランクリンの目指した「13の徳目」
  2. すべてを可能にする「勤勉」の大切さ
  3. フランクリン流「人を巻き込む」方法

私もこの本を読んで、社会のために働こう..という気持ちになりました。

フランクリン自伝とは?

フランクリン自伝とは?

「フランクリン自伝」は、アメリカ建国の父としても知られるベンジャミン・フランクリンが自身の半生を綴った自伝です。

フランクリンは、印刷業で成功して実業家として身を立てたあと、政治家物理学者としても活躍しました。(凧をあげて、カミナリが電気だと証明したのもこの彼です。)

アメリカの100ドル紙幣の顔にもなっています。

人格者フランクリン

そして、自伝中にも書かれているとおり、フランクリンは「大小さまざまな公共事業を手がけた」ことで有名です。彼の社会のために知恵を出し、尽くそうとする心はいまもたくさんの人に尊敬されています。

フランクリンの公共事業の例

  • アメリカで最初の消防組合を設立
  • 市民がお金を出しあい道路の舗装や清掃、外灯の設置をするしくみを作る
  • 市民が集まり、牧師の説教を聞くことができる集会所を建設

自伝中のエピソード

たとえば、彼の公益を大切にする心は自伝中のこんなエピソードからも伝わります。

物理学者として優れたストーブのしくみを発明した彼は、有力者から「専売特許をあたえよう」という話をうけました。しかし、次のような考えからこれを断りました

私はこういう場合につねづね自分には重要と思われる一つの主義があったので、これを断った。つまり、我々は他人の発明から多大の利益を受けているのだから、自分が何か発明した場合にも、そのため人の役に立つのを喜ぶべきで、それを決して惜しむことがあってはならないという考えである。

本書は、そんなフランクリンの考え方や生き方がわかる本です。

この記事では、私たちにも役だつフランクリンの心構え、勤勉さ、スキルなど、3つのポイントをご紹介していきます!皆さんのお役に立てれば幸いです。

フランクリン自伝要約①「13の徳目」

まず1つ目のポイントは「フランクリンの13徳」として有名な、彼のつくった徳目リストです。

Point 1

人格者として讃えられるフランクリンですが、それは彼が「道徳的な人間になろう」と一生をかけて自分を律したからです。

私が道徳的完成に達成しようという不敵な、しかも困難な計画を思い立ったのはこの頃の事であった。私はいかなる時にも過ちを犯さずに生活し、生まれながらの性癖や習慣や交友のために陥りがちな過ちは、すべて克服してしまいたいと思った。

そして、彼にとって大切だと考えた13の道徳をリストアップし、自らに課して生活しました。それがこちらになります。

フランクリンの13徳

  1. 節制:満腹になるまで食べないこと。酔うまで飲まないこと。
  2. 沈黙:自他に利益のないことを話さないこと。無意味でくだらないおしゃべりをしないこと。
  3. 規律:物はすべて場所を決めて置くこと。仕事はすべて時間を決めてすること。
  4. 決断:するべきことをすると決心すること。決めたからには必ず実行すること。
  5. 節約:自他に利益のないことにお金を使わないこと。すなわち、浪費しないこと。
  6. 勤勉:時間を無駄使いしないこと。つねに何か役立つことに時間を使い、無益な行いをやめること。
  7. 誠実:うそをついて人に害を与えないこと。心の中は素直で正しく保つこと。口に出すこともまた同じようにすること。
  8. 正義:他人の利益を傷つけ、あるいは自分の義務を怠って人に損害を与えないこと。
  9. 中庸:偏った考えや行動を避けること。たとえ不当な扱いを受けても、怒りすぎないこと。
  10. 清潔:身体、着るもの、住む場所は清潔にしておくこと。
  11. 平静:ちょっとしたこと、平凡なこと、自分の力が及ばないことで心を乱されないこと。
  12. 純潔:性交は健康または子供をつくるためにのみ行うこと。これにおぼれて、頭脳や健康を害したり、平穏や信用をなくしたりしないこと。
  13. 謙譲:イエスおよびソクラテス(の謙虚で控えめな態度)を見習うこと。

これが彼のつくった徳目リストです。13もあると多すぎる..という印象をうけるかもしれませんが、これは彼が1つ1つの徳を明確にして、確実に実践しようとしたからでした。

私自身は明確を期するために、少数の名称に多くの意味を含ませるよりも、名称は沢山使って、各々の含む意味はこれを狭く限定しようと考えた。

フランクリンによってよく練られたリストであることがわかります。どれも、今の時代でも変わらず大切な徳目です。

「13の徳」の実践方法

また、彼のすごいところはリストを作るだけで終わりにせず、これを実践する具体的な仕組みを作ったことです。本書に詳しく書かれていますが、ここでも少しご紹介します。

彼は手帳のなかに、13の徳を守ことができたか毎日チェックするための次のような表をつくりました。縦に13の徳目、横に曜日をかき、週ごとに表を新しくします。
フランクリンの13徳の実践方法
また、すべての徳を同時に目指しても注意が散漫になってしまうため、1週間にひとつの徳だけを課題とするという方法を取りました。

1週目は「節制」の徳だけを課題として、これを守ることに意識を集中します。他の徳はあまり注意せず、なるように任せておきます。(過失があった場合はチェックだけつけておきます。)

そして、2週目は次の「沈黙」の徳だけに集中して、同じようにします。このようにひとつずつ徳の習慣を強めていきます。13週間でひとまわり、1年間で4周繰り返すことができます。

この地道な習慣を人生を通してストイックに続けたところに彼のすごさがあります..。

むずかしい道だけど..

この「道徳的完成を目指す」という挑戦は想像どおり大変な道で、フランクリンも結局それは達成できなかったといいます。ですが、それを目指すことが自分の人生をいいものにした、とも語ります。

大体から言えば、私は自分が心から願った道徳的完成の域に達することはもちろん、その近くに至ることさえできなかったが、それでも努力したおかげで、かような試みをやらなかった場合に比べて、人間もよくなり幸福にもなった。

興味のある方は、ぜひトライしてみてください。

フランクリン自伝要約②「人み外れた勤勉さ」

続いて、本書から学べる2つ目のポイントです。それは、自伝を通して伝わるフランクリンの並外れた勤勉さです。

Point 2

「勤勉」は先述した13の徳のうちのひとつですが、彼がもっとも強調している徳でもあります。

私がかように自分の勤勉ぶりを事こまかに、また無遠慮に述べ立てるのは、自慢話をしているように聞こえもしようが、そうではなくて、私の子孫でこれを読む者に、この物語全体を通して勤勉の徳がどのように私に幸いしたかを見て、この徳の効用を悟ってもらいたいからである。

実際、本書にはフランクリンがいつでも意欲的に勉強・仕事に励んでいる姿が描かれています。それは読んでいてとてもすがすがしく、自分も勤勉にはたらこう..という気持ちにさせてくれるはずです。ここでは、彼の考えをひとことで表した言葉を引用します。

ものぐさは万事を難くし、勤勉は万事を容易にする。

勤勉は信頼を得るための手段

また、勤勉が大切な理由は、自分自身でなにかを達成するだけではありません。それがビジネスマンとして重要な他人からの信頼を得る手段でもあるからです。

例えば、フランクリンは青年時代、自身の勤勉さを人に見せるためにあえて商品の仕入れを自分で歩いて行っていました。

商売相応に手堅くやっていることを人に見せるために、方々の店で買った紙を手押し車につんで、自分で往来を引いて帰ることも度々あった。かような工合で、よく働く先のある若者だと思われ、また買った品物の代金はきちんきちんと支払ったので、文房具の輸入商で取引を申し込んでくるものもあり〜(中略)私の店は次第に繁盛して行った。

さらに、商人としての評判を得るために、仕事以外の時間の過ごし方にも気をつけていたようです。

商人としての信用を保ち、評判を失わぬようにするため、私は実際によく働き倹約を守ったばかりでなく、かりにもその反対に見えるような事は努めて避けた。着るものは質素なものに限り、遊び場所には絶対に顔を出さなかった。釣りにも猟にも決して行かなかった。

事をなすのに、勤勉は不可欠かもしれません。

フランクリン自伝要約③「人の巻き込み方」

最後にご紹介するのは、フランクリン流「人の巻き込み方」です。

Point 3

彼は生涯で多くの事業を成功させました。それは、自分のアイデアを周りの人に持ちかけ、多くの協力者を巻き込むことができたからです。

しかし、単に自分のアイデアを人に話すだけでは、協力を得ることはむずかしいと彼は言います。なぜなら、公共事業の場合はとくに、「発案者が有名になりたいからこの計画を持ちかけてきたのでは?」という気持ちになってしまうからです。

そのような時、フランクリンには次のような交渉のコツがありました。

何かある計画をなしとげるのに周囲の人々の助力を必要とする場合、有益ではあるが、(発案者が)自分たちよりほんのわずかでも有名になりそうだと人が考えやすい計画であったら、自分がその発起人だという風に話を持ち出しては、事はうまく運ばない。
そこで私はできるだけ自分を表面に出さないようにして、この計画は数人の友人が考えた事で、自分は頼まれて皆から読書家と思われている人のところを話してまわっているのだと説明した。この方法をとってからというもの、仕事は一段と円滑に進んだ。

つまり、何人かで考えた計画をただ伝達している風に話すことです。そうすることで、周りの人にも協力しようという気持ちになってもらうことができます。

埋め合わせは後で来る

また、この方法のいいところはもう1つあります。それが、埋め合わせは後で来ることです。

現在名誉心を満足させることを少し我慢すれば、後で償いは十分に来るのである。誰の功績か、しばらくはっきりしないような場合には、君よりも名誉心の強い(他の)男がそれをよいことにして自分の手柄だと主張することもあるだろうが、そういうことがあっても、やがては君を嫉んでいる者ですら、偽りの名誉をはぎとって、正常な持ち主にそれを返そうと公正な態度をとりたい気持ちになるものである。

つまり、自分が発案者だと言わなくても周囲の人はそのことに気がつき、最後にはいちばんの功労者を称えるようになります。

人との接し方も大切

もう1つ、彼が周りと協力するために注意していたことが人との接し方にでした。そこで彼が大事にしていたのは、13徳のひとつである謙譲の態度です。たとえば、こんな感じに。

  • 「確かに」や「疑いもなく」などの断定的な言葉は避け、「私はこう思う」や「こうだろうと想像する」といった言いかたをする。
  • 人がまちがっていることを話したときも、まずは「時と場合によっては君の意見も正しいだろうが、現在の場合はどうもちがうようだ」などと言い、頭から否定しない。

もともと「大の議論好き」だったフランクリンですが、このような習慣に変えたことで次のような変化があったと変わります。

謙譲な態度で自分の意見を述べるので、かえって容易に人に容れられ、反対も少なくなってきた。自分の意見が間違っている場合でも、そんなに恥をかかないですんだし、たまたま自分のほうが正しい場合には、いっそう容易に人を説得してその誤りを改めさせ、自分の説に同意させることができるようになった。

だれかと協力して仕事をするときに参考になるかもしれません。

まとめ

この記事では、ベンジャミン・フランクリンの「フランクリン自伝」について、次のポイントで要約をご紹介しました。

  1. フランクリンの目指した「13の徳目」
  2. すべてを容易にする「勤勉」の大切さ
  3. フランクリン流「他人を巻き込む」方法

この記事でご紹介したポイントは本書のごく一部です。偉人の生き方に触れてみたい方は、ぜひこの本を手に取ってみてください!

この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。