英語ディベートの大会に出るときに知っておくべき用語【初心者必見】

ディベート ディベート知識

 初めて英語ディベートの大会に出る方へ。

 ディベートの大会に初めて出場すると、聞き慣れない言葉とたくさん出会うことになると思います。もともとディベートは特有の用語が多い世界です。(SQ, AP, インパクトなど..)。基本的にそれらは、普段の練習で上級者の方に教えてもらうと思います。

 しかし、「大会でのみ使われるディベート用語」も多く、これらは普段の練習であまり教えてもらう機会がありません。そこでこの記事では、「大会でのみ使われるディベート用語」に限定して、その意味を解説したいと思います。ここにある用語を抑えておけば、大会の日に焦らず、練習の成果を発揮できるでしょう。

 この記事で書いていること

  1. 大会の全体や、概要についての用語
  2. 大会に関わる人たちについての用語
  3. 大会のルール・進行についての用語
  4. ジャッジからの評価についての用語

この記事を書いている私は、英語ディベート歴2年。大会にも何度か挑戦しています。
(※この記事で書いている内容は、主にパーラメンタリーディベートの大会に関する用語です。)

① 大会の全体や概要についての用語

大会の全体に関わる用語です。大会の種類や、大会の告知文に載っている言葉をまとめています。

パーラ パーラメンタリーディベート(Parliamentary Debate)の略。
即興型ディベートのこと。
アカデ アカデミックディベート(Academic Debate)の略。
調査型ディベートのこと。
オープン大会 学生、社会人に関わらず全ての人が参加できる大会。
インビテ インビテーション(invitation)の略。
ディベート大会情報の告知及び、申込情報(フォーム)のこと。
インステ インスティチューション(institution)の略。ディベーターが所属するディベートの団体名(ディベートのサークル名)。
大学ごとにアルファベットの略称が決まっている。

② 大会に関わる人たちについての用語

大会に関わる人や、役職を指す用語をまとめています。

ラウンドに関わる人たち

練習では”ジャッジ”と呼んでいる人も、大会では他の呼び名が使われます。

アジュディケーター
Adjudicator
・ラウンドのジャッジ。チェアとパネルの2種類の人がいる。
・ラウンドの勝敗について、1票ずつ投票権を持っている。
チェア
Chair
・ディベートの議長。1つの試合につき1人いる。
・ラウンドの進行を行ったり、勝敗やその理由をディベーターに説明したりする。
パネル
Panel
・議長以外の審判員。勝敗を決めるディスカッションに参加し、投票権を持つ。
・チェアの代わりに勝敗の理由を説明することがある。(投票により、チェアの意見とは反対の勝敗をつけることになった時)
・時間があるときに個人フィードバックをもらえることがある。
トレイニー
Trainee
・研修生。投票権は持たないが、ディスカッションに参加する。
ディベート-大会でラウンドに関わる人たち

運営に関わる人たち

たくさんの人が運営に関わっています。略語も多いので、要チェック。

コミッティー
Committee
大会の運営チームの総称。略して”コミ”とも呼ぶ。
TD
Tournament Director
大会運営の最高責任者。TDをサポートするVTD (Vice Tournament Director)もいる。
FD
Financial Director
大会運営の財務担当。予算案の作成から、参加費の徴収、コミや提供ジャッジへの謝礼などを行う。
MD
Media Director
大会運営の広報担当。SNS等を使って大会情報の告知などを行う。
CD
Communication Director
大会運営の連絡担当。大会参加者への連絡や、質問への対応などを行う。
タブ
Tabulation Director
ディベート大会用の管理ソフトを操作し、対戦表の作成や結果の集計を行う。
TechD
Technical Director
大会運営の技術担当。オンラインのディベート大会などで、プラットフォームの設定や管理を行う。
AC
Adjudication Core
ディベートの専門家として運営に関わるメンバー。大会で使用するモーションの決定、ルールやガイドラインの規定などを行う。
CA
Chief Adjudicator
Adjudication Coreの最高責任者。また、ACの他のメンバーをDCA(Deputy Chief Adjudicator)と呼ぶ。
ディベート-大会の運営に関わる人たち

その他の人たち

提供ジャッジ インステごとに、出場チーム数に応じて提供が義務付けられたジャッジ。
IA
Independent Adjudicator
インステ等に関係なく、個人で応募して大会に参加するジャッジ。”ジャッジテスト”というテストの受験が義務付けられていることがある。
招待ジャッジ ディベートにおいて経歴や経験があり、大会が招待したジャッジ。大会参加者へのレクチャーが行われることもある。
ジョイント 異なるインステのディベーター同士でチームを組んで出場すること。ジョイントによる参加が認められる大会と、そうでない大会がある。
シャドーディベーター 大会の参加チームの数が奇数の時などに、数合わせとして参加するディベーター。勝利してもブレイクや表彰の権利を持たない。
ディベート-大会に登場する特殊なディベーターたち

③ 大会のルール・進行についての用語

大会上のルールや、運営チームからの進行に関する用語をまとめています。

大会のルールに関する用語

知らない相手ともディベートする大会だからこそ、いつも以上に配慮の気持ちが大切です。

エクイティ
Equity
参加者全員が気持ちよくディベートを行うためのガイドライン。ディベートの中での差別的、攻撃的な発言や、相手ディベーターへの無礼な態度などを禁止してある。
大会ではいつもの練習以上に気持ちも高ぶりやすいため、少しだけ注意が必要。
ジェンダープロナウンス
Gender Pronouns
ラウンド中、及びラウンド外でも、3人称を指す言葉を使う際は性に中立な言葉を使うことが求められる。
(he/sheではなく、theyやポジション名など。)
オプトアウト
Opt-out
出題されたモーションに関して、過去のトラウマなどからディベートを行うことが精神的に苦痛であるときに用いられる。大会関係者にそのことを話し、認められた際にモーションを変更してもらうことができる。

大会の進行に関する用語

運営からの指示などにも含まれる用語です。

レジストレーション
Registration
・大会当日の朝に行われる出欠確認。略して”レジ”と言う人が多い。
・遅刻すると参加資格を剥奪されることもある。(”レジ落ち”と言う)
ブレイク
Break
・予選ラウンドを勝ち抜き、トーナメントに参加すること。ブレイクのある大会は基本的に2日あり、1日目に予選ラウンドが行われ、2日目にブレイクしたチームがトーナメントを行う。
・実はジャッジにもブレイクがある。
リザーブ
Reserve
ブレイクしたチームが2日目に遅刻や欠席をした時のための予備チーム。ブレイクしなかったチームの中で、最も順位の高い数チームが選ばれる。2日目のレジストレーションに出るが、基本的には出番はない。
グラファイ
Grand final
大会の決勝戦。
セミファイ
Semifinal
大会の準勝戦。
コミュニケーションラウンド
CR
任意で参加可能な余興ラウンド。ランダムでディベーターをマッチングしてディベートを行う。予選ラウンド終了後に行われることが多い。大会の時間が押してなくなることも。
サイレントラウンド 勝敗がディベーターに知らされないラウンド。最終ラウンドがサイレントラウンドになることが多く、表彰やブレイクチームのアナウンスのドキドキ感が増す。
プライズ 大会の表彰。ディベートのチームの表彰に加えて、ディベーターが個人で表彰されるBest Speakerや、ジャッジが表彰されるBest Adjudicatorなどもある。それぞれ、スピーカースコアやジャッジスコアで決定される。
ディベート_大会の進み方

④ ジャッジからの評価についての用語

ディベートの大会では、ラウンドの勝敗の他に、個人スコアやマージンなどの評価があります。
大会特有の評価に関する用語をまとめました。

スピーカースコア ・各試合でスピーカーに付けられるスコア。話す内容や、話し方を総合的に評価してAdjudicatorが決定する。
・基本的に65点 (最低) ~ 85点 (最高)の範囲で付けられ、75点あたりが平均のスコアとなる。(※大会により差異あり)
ジャッジスコア ・各試合でジャッジに付けられるスコア。ディベーター→チェア、パネル→チェア、チェア→パネルにそれぞれ評価する。
・1点 (最低) ~ 10点 (最高)の範囲で点数がつく。
・予選の試合でのジャッジスコアにより、ブレイクするジャッジが決まる。
マージン
Margin
・勝ったチームと負けたチームのスピーカースコアにどれくらいの差があったかを表す。そのラウンドが僅差、もしくは大差で決着がついたものかを表す指標となる。
・0.5 ~ 1.0 :僅差、1.5 ~ 3.5 :僅差だが勝敗は明確、 4.0 ~ :大差で決着
Tabbycat ・ディベートの大会で主に用いられている集計ソフト。タブ(Tabulation Director)が管理、操作する。
・ディベーターも事前に送付される”プライベートURL”から入り、ジャッジスコアの評価や対戦表の確認をする。
バロット
Ballot
Adjudicatorによるディスカッションの結果。Tabbycatを通して運営に提出する。

まとめ

この記事では「大会で使われる用語」に限定して、ディベート用語をまとめました。大会当日に落ち着いて練習の成果を発揮できるように、基本的な用語を予習しておくといいと思います。

この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。