【アルケミスト】世界で親しまれる小説が教える3つの名言【古典を読む】
「パウロ・コエーリョの小説『アルケミスト』に興味がある。」
「この小説からなにが学べるのか知りたい。」
「この小説をを読んだけれど、ほかの読者が考えたことを見てみたい。」
このような悩みを持つ方に、世界中で親しまれる小説「アルケミスト」から、印象にのこった3つの言葉と、私がそこから学んだことをご紹介します。
この記事で書いていること
- 夢へ踏みだす勇気をくれる名言
- 幸福の秘密についての名言
- 世界との向かい合い方がわかる名言
アルケミストは、私がもっとも好きな小説です。
パウロ・コエーリョの「アルケミスト」とは

「アルケミスト」は、ブラジルの作家パウロ・コエーリョによって1988年に書かれた小説です。60カ国語以上に翻訳されるほどの人気になり、今も世界的に読まれつづけています。
アルケミストの魅力
この小説が世界中で人気の理由は、シンプルでありながら、人によって受けとるものや考えることが変わる奥深さにあると思います。
本書は、主人公の羊飼いの少年が、宝物をさがすために砂漠をこえ、ピラミッドを目指す旅をするお話です。
絵本に出てくるような抽象的な面もあるストーリーながら、それゆえに読者みんながそれぞれのメッセージを受けとれる点が魅力です。
個人的には、「星の王子さま」に似た雰囲気があると思います。
本書がくれる学び
夢をかなえるためにふみ出し、困難に立ちむかうというお話の本書は、私たちの日常や人生とも重なり、多くの学びをくれると思います。
この記事では、私が本書をよんで印象にのこった3つの言葉と、それについて考えたことをご紹介します。
- 夢へ踏みだす勇気をくれる名言
- 幸福の秘密についての名言
- 世界との向かい合い方がわかる名言
みなさんが本書に興味をもち、手にとる際の参考になれば幸いです。
【アルケミスト①】勇気をくれる名言
まず1つ目に、やりたいことに一歩を踏み出す勇気をくれる名言です。

「傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだと、おまえの心に行ってやるがよい。夢を追求している時は、心は決して傷つかない。それは、追求の一瞬一瞬が神との出会いであり、永遠との出会いだからだ。」
「アルケミスト 夢を旅した少年」, パウロ・コエーリョ著, 山川紘矢, 山川亜希子訳
私たちはしばしば、やりたいことがあってもそれによって傷つくことを恐れ、二の足を踏んでしまうと思います。例えば、他人にばかにされることや、慣れ親しんだものと別れる寂しさは辛く見えるものです。
本書から考えたこと
しかし、本書は「実際に自分のやりたいことをやる中で傷つくことは、見かけよりも恐いことではない」ことを教えてくれます。これは、自分の夢に向かって歩んでいるという事実が、強く生きるための誇りや、失敗への肯定をあたえてくれるからだと思います。
たとえば、本書の中にもこのようなシーンがありました。
出発してすぐ、少年はどろぼうにあい、持っているお金をすべて失ってしまいます。彼はそこで一度は絶望しますが、自分が夢を実現しようとしていること自体が、彼を元気づけています。
こうしたことをつくづく考えているうちに、彼は自分のことをどろぼうに会ったあわれな犠牲者と考えるか、宝物を探し求める冒険家と考えるか、そのどちらかを選ばなくてはならないことに気がついた。 「僕は宝物を探している冒険家なんだ」と彼は自分に言った。
「アルケミスト 夢を旅した少年」, パウロ・コエーリョ著, 山川紘矢, 山川亜希子訳
夢とは自分のありたい姿であり、それに近づいていることは、それだけで幸福を感じられることかもしれません。
【アルケミスト②】幸福についての名言

続いて2つ目です。これは、「ある若者が”幸福の秘密”を知るため、世界一の賢者が住む宮殿を訪ねた」というお話を、少年が聞かされるシーンです。
その賢者は若者に、数滴の油の入ったスプーンをわたし、スプーンの油をこぼさないまま、彼の美しい宮殿を見物するようにいいます。しかし、若者はスプーンに注意を向けるあまりその宮殿を楽しめなかったり、反対に宮殿を満喫する間にすっかり油をこぼしてしまったりしました。
その若者に向けて、世界一の賢者がかけた言葉がこちらです。
『では、たった一つだけ教えてあげよう』とその世界で一番賢い男は言った。『幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ』
「アルケミスト 夢を旅した少年」, パウロ・コエーリョ著, 山川紘矢, 山川亜希子訳
本書から考えたこと
この場面の解釈の仕方は、いく通りもあると思います。その中で、私が受けとったメッセージは、その一瞬一瞬を楽しみながら、長期的な目標にも向かうことの大切さです。
しかし、それを意識するあまり、それに関係ないように見えるものをほとんど切り捨ててしまうのは、不幸かもしれません。例えば、友人の誘いや、新しい人や趣味との出会いなど。
一方で、その瞬間を楽しむあまり、後から振りかえってみて見える積み上げたものがないのも、寂しいかもしれません。大事なのはそれらの両方であると、考えさせられる言葉でした。
【アルケミスト③】世界との向き合い方の名言

最後は、少年が砂漠をわたるときに受けた、ある人物からの助言の言葉です。
「砂漠を愛さなければならぬが、全面的に信頼してはいけない。なぜなら、砂漠はすべての男を試すからだ。それはあらゆる段階で挑戦してくる。そして取り乱した者を殺すのだ。」
「アルケミスト 夢を旅した少年」, パウロ・コエーリョ著, 山川紘矢, 山川亜希子訳
本書の中で、砂漠は人々の生活の場であり、戦いの場であり、少年が乗りこえるべき試練でもありました。その砂漠を「愛さなければいけないが、信頼してはいけない」というのは、短いながら印象的でした。
本書から考えたこと
私が考えたことは、この言葉はわれわれの現実でも同じであり、「砂漠とはすなわち、私たちが属する学校、会社、そして社会全体のことではないか」ということです。
そうすると、言葉の意味も次のように考えることができると思います。
- 「愛する」とはつまり、そこでの生活やコミュニティを何かしら肯定的にとらえ、それらを良くするために尽力すること。
- 一方で「信頼しない」とはつまり、それらがいつでも自分を守り、自分の都合にわせてくれるとは思わないこと。
このような姿勢で私たちの生きる世界と向きあうことを、教えてくれているのではないでしょうか。
この教えの具体例
たとえば、もし私が会社に雇われているなら、そこでの仕事や待遇に文句ばかり言っていてはダメです。愛する、つまりそれらをポジティブにとらえ、自分から会社をよくするために働きかける必要があります。
一方で、会社が自分の希望にいつでも応え、生活を守ってくれるわけじゃないと知る必要もあります。全面的に信頼しない、つまり自分の思うとおりでなくても失望せず、そこに依存しない方法を探すのもいいかもしれません。
このように、この世界とのいい距離感を教えてくれる、知恵のある言葉ではないかと思います。
まとめ
この記事では、パウロ・コエーリョの「アルケミスト」から、私が特に学びをえた3つの言葉をご紹介しました。
- 夢へ踏みだす勇気をくれる名言
- 幸福の秘密についての名言
- 世界との向かい合い方がわかる名言
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。